2020年イタリア旅行 3 – フィレンツェ ~ ヴェローナ~ローマ

イタリアへの想い

フィレンツェ

午前中はフィレンツェ市内観光、バスから降りるとアルノ川に沿ってずっと歩いていく。
地元の学生の集団とすれ違う。ほどなく歩くと前方にヴェッキオ橋が見えてきた。
橋の中央にカラフルな色どりの建物が、前方に浮き出るように突き出ている。

その手前を右に曲がるとウフィツィ美術館がある。
サンドロ・ボッティチェッリの「ヴィーナスの誕生」「プリマヴェーラ」「東方三博士の礼拝」レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」等、世界の名画が陳列されている、世界最高峰の美術館のひとつだ。
イタリア・ルネサンス名画の数々を堪能しながら静かに歩いていく。
美術館を出るとドゥオモ、サンジョバンニ洗礼堂等を回り、ミケランジェロ広場を眺めた後は、昼前に解散をして自由行動となった。

ヴェローナ

私たち家族は、以前からユーロスターのチケットを予約しており、この日は「ロミオとジュリエット」ゆかりの地と言われる「ジュリエッタの家」に行くことに決めていたのだ。
妻のこだわりの地で、妻にとっては今回のツアー最大の目的地だ。
ミラノ中央駅からユーロスターに乗り、ヴェローナへ。

快適な車内スペースは日本の新幹線よりも遥かに”旅気分”を味わえる雰囲気だ。
ヴェローナ・ポルタノーヴァ駅を降りてタクシーに乗りアレーナ・ディ・ヴェローナまで行くと、ショッピング通りとなっているジュゼッペ・マッジーニ通りを歩いた。

フィレンツェやヴェネチアとは違い、少しこじんまりとしているがお洒落で個性的な店が多く並んでいる。何軒も立ち寄りながら歩いていく。
カッベッロ通りに突き当たり右折すると、ジェリエッタの家が見つかった。
念願の地に着いた妻は感激をして写真を撮ったりお土産屋で長時間、品定めをしている。
ここに手紙を渡すと、後で手紙が返ってくるらしい。妻は日本で書きためた手紙をポストに入れた。果たしていつ、返事が来ることか?旅の楽しみの一つだ。

ヴェローナは乾いた空気感と街に立ち並ぶ建物の雰囲気がとても気に入った。
以前訪れたスペインの郷愁感と少し似ている。
いつかまた訪れたい土地だ。

ローマ

翌日は朝から4時間バスに乗りローマへ移動した。
ローマに着き昼食後、 スペイン広場、トレビの泉、ベネチア広場を見て回った。
トレビの泉と言えば、映画「ローマの休日」の一シーンがあまりに有名だ。


「ローマの休日」の好きな妻は、トレビの泉も楽しみにしていた。
名所だけあり人は多い。
“イタリアはスリが多い”とずっと聞かされていて用心深く回っていたが、ここでは特に警戒心を強めながら写真やビデオを撮った。
陽ざしを浴びたポーリ宮殿の優雅さは、今まで見た数々の名所の建築物に劣らない出来栄えだ。
イタリアの無限とも思える名所の多さには、ため息をつくばかりだ。

その後、ヴァチカン美術館、システィーナ礼拝堂、サンピエトロ大聖堂を訪れた。
サンピエトロ大聖堂の広大さにまず圧倒される。



カトリック教の総本山。
過去の歴史と現在が同居するこの地では、私が訪れた時間でも礼拝をしている人がいた。

システィーナ礼拝堂はミケランジェロ、ボッティチェッリ、ピントゥリッキオ等一流の芸術家達が天井・壁の絵画を手がけた壮大な芸術空間だ。
入場制限が敷かれ時間制限もある。
入った人は、ただただ上を見上げ、天井に描かれた壮大な絵や四方の壁画を鑑賞するのだ。
そこにあるのはルネサンス期に時代が創った希代の芸術家達のプライドと情熱の結晶。
観る人を圧倒させる自信に満ちた作品のオーラ。
当時のローマ教皇達のもと、芸術家達に託された大仕事は、こうして時代を過ぎても世界中の人々が詰めかける魅力を放っている。
どのような思いで教皇や芸術家が、このスケールの大きな仕事に立ち向かったのか?
絵を眺めながら黙々と思いを馳せていると、あっという間に制限時間が来た。




外を出ると壮大な建築物が、綺麗な青空に向かって伸びている。
そして大聖堂の最上部の聖人像が悠然と広場前の人々を見守るかのように立っている。

ふと足元を見ると石畳が続いている。



自分が帰国後、買おうと思っている自転車(Bianchi Infinito CV)は、ヨーロッパの道に敷かれているこの石畳の上を走るときの振動を吸収する仕組みのタイプだ。

早く自転車を買って、こんな石畳を走ってみたい。
そう思うと、すっと精神が開放された気がした。
イタリアでの観光に刺激を受けながら、少しずつ帰国後の新しい生活にも考えを巡らせた。

今日も充実した一日が終わった。


(終) 2020年2月29日

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