ヤビツ峠~三浦半島を舞う鳥

サイクリング

(2022年2月記載。)

ヤビツ峠はロードバイクを始めてからこの日初めて挑戦した。
ヤビツ峠は東京・神奈川のロードバイク乗りの間で有名な峠だ。入口で有名な、セブンイレブンのある名古木(ながぬき)交差点から峠頂上まで約11.7km。下りや平坦はほとんどなく5~10%の傾斜がずっと続く峠だ。
この”休みなく”登り続けなければいけない長距離の坂が、忍耐好きな日本人の”琴線“に触れるのだろう。

私もこの日初めて登ってからはヤビツ峠の虜になり、現在まで何度となく訪れている。
途中で脚をついて休むことなく、初めて無事登り切った満足感は、もう1年半近く経つが今も忘れられない。
頂上は特に見晴らしがよいわけでもなく、殺風景ともいえる景色だ。
ここの峠の特徴と言えば、頂上までを目指すのはロードバイク乗りだけでなく、自動車、オートバイ、そしてランニング(トレラン)の人達も走り抜けてくる。
そしてバスに乗ってヤビツ峠頂上を降りて、ここから大山や塔ノ岳へ向かう登山者が行き交う。
この頂上では登山の方やロードバイク乗りの同胞と話をする機会が何度かあった。

これからもこの頂上ではいろいろな出会いがあるだろう。
今回は頂上ではなく数キロ下ったところにある菜の花台駐車場の思い出を書いてみる。

頂上まで登り切ってから休憩がてら菜の花台に寄ってみた。
景色は頂上からでなくこちらからが抜群によい。
相模湾一帯が一望できるし、天気が良ければ展望台からは富士山も見れる。ひとしきり写真を撮っていると、60代ぐらいの男性が一人椅子に座って一眼レフを三脚に構えていた。
風貌からして、孤独で一人、最近の流行のテクノロジーや流行など我関せず、野鳥を追っかけている方に見えた。

何気なく”何が撮れますか?”と声をかけてみた。
地元に住み着いている猛禽類や渡り鳥を撮っているという返事が返ってきた。
ここまでは想定内の会話だ。
男性の話が続く。

”ここに住み着いている猛禽類(名前を失念)は23頭確認されています”
”その鳥はここを飛び立つと、三浦半島まで飛んでいくのです”
”三浦半島には仲間がいて撮影の待機しているんです”
”私は鳥が飛び立つのを見ると、スマホからLINEで仲間に連絡して教えてやるんですよ”

と笑顔で解説してくれた。

なるほど。今や60代以上の年配(失礼)の方々も、スマホを駆使して、仲間とネットワークを張って進化した野鳥撮りを楽しんでいるとは!
寒さに耐え、一人座り込んで無人の森を眺めているだけかと思いきや、
ちゃんと仲間と趣味を楽しんでいらっしゃる。

今はロードバイクで一人の時でも仲間と一緒の時間も楽しめているが、
将来はまだ思いも知らぬ新しい趣味を、新しいテクノロジーを使って楽しむ時代が待っていることを教えてくれたひとときだった。


(終) 2020年10月30日

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