青山を走る

のんびり街を行く

コロナウイルス禍の影響で、休日に都心へ来ることが全くなくなった。
仕事は原則テレワーク。たまに仕事で東京で来ると、用があれば帰りに済ませてしまう。
休日にわざわざ東京に来ることが皆無になってしまった。
街乗り用に買ったクロスバイクの出番がほとんどない生活だった。
とはいっても都心に来たくなくなったわけではない。
青山にはずっときたくて仕方がなかった。
先日のビーナスラインと八ヶ岳、そして二日前に行ったヤビツ峠では下り道の寒さに震える思いをしたこともあり、ロードバイク用に冬物の買い物に来た。
青山・神宮界隈は、自転車関係の店が非常に多い。
以前の会社が青山通り沿いにあったこともあり、青山界隈は思い出も多い。

快晴の天気の下、車にクロスバイク,Bianchi Roma1を積んで青山に向かった。
駐車場は千駄ヶ谷に車を止め、そこから外苑西通りに出る。


外苑西通りは自転車ショップが多い。
なんといっても老舗のなるしまフレンド神宮店がある。
ロードバイク・ブランド直営店のTrek、国産メーカーCHERUBIM。
ブリジストンのコンセプト・ショップRATIO &C。





こういったショップを眺めながら、青山通りを出ると右折して、しばらく青山通りを走った。
そして表参道交差点まで戻ると根津美術館の方へ向かう。
ブランド直営店がずらりと並ぶ通りだ。

そこから根津美術館を右折すると今年の夏にオープンしたばかりのロードバイク直営店PINARELLOがブルーノート東京手前に店を構えている。



骨董通りに出て再び青山通りに戻ると外苑西通りまで走らせた。
いよいよお目当ての店に行くのである。
外苑西通りを右折して、SKI SHOP JIROを右折すると、OVE南青山に着いた。
ここは自転車の部品メーカーで世界的に有名な、シマノが出しているコンセプトショップだ。


カフェだが、いろいろな催し物を常にやっている。
2006年のオープンの年、2度ほど来たことがある。
当時と変わりなく、清潔感とおもてなしの精神に満ちたお店だ。
11:30前に着いたのだが、すぐに店員さんが出てきて、色々話しかけてくれる。
ランチまで時間がありすぎるので、一旦どこかでランチをしてから戻ろうと思ったが、話しているうちにそのまま中に入ることにした。

知らない人は、ここがシマノが経営しているお店とは絶対に気づかないだろう。
自然食や健康意識の高いカフェ、ぐらいに思うに違いない。
”店内をゆっくりご覧ください“と声をかけられ、店内を歩き回る。
サイクリング・イベントのパンフレットが一角に並べてある。
ひとしきり店内を見渡すと席に戻り、食事が始まるまで先にコーヒーをいただくことにした。
14年前以来の訪問。

青山にオフィスがあり、小さい自転車を買ってオフィス界隈から青山通りを走り、このカフェにたどり着いた。当時もお洒落でゆったりしたイメージだったが今も変わらない。
コーヒーを待っている間。改めて席から店内を眺めていると14年前の記憶が蘇ってくる。趣味もなく仕事に追われていた40代前半。
当時は仕事に充実していたと思い込んでいたが、今思えばかなり無理をしていた時代。
“我慢してたんだなあ。”
率直な感想が頭に浮かぶ。

そして当時交流していた人達の顔が思い浮かぶ。
ひたむきな顔。
ひょうひょうとした顔。
彼らの笑顔が浮かぶ。
皆いい笑顔だ。
そう、苦しい時代だったが、まんざらでもない時代だったのだ。
そう思うと気が楽になった。

コーヒーが運ばれてくる。
まるで14年間、ここでこのコーヒーを待っていたような気分だ。
これからはこれぐらいじっくりとした時間を過ごしたい。

今日、この店に来た道のりを思い返す。
冷え込んだ空気と青い空。
まだ開店していない店。
穏やかな午前の通りを歩く人の姿。

 今も、そしてこれからも何も変わらない。
そう思うと心が穏やかになる。

コーヒーを飲んだら食事が運ばれてきた。
茄子とキャベツのソテー。そして食材豊富な味噌汁に土鍋ごはん。

極上の味を噛みしめる。
コロナウイルス禍の影響で、人々の健康熱が高まり、自転車の売上は大きく上がっているという。
健康の意識が高まるのはよいことだ。
運動と食事に楽しく向き合い、健康に努める。
こういうお店が増えると、人々の生活に”艶”が出る、というものだ。

OVEを出ると、いよいよ買い物だ。
なるしまフレンドに向かう。



ロードバイクのウエアは秋・冬は難しい。
まず朝と昼の温度が違う。
私のように峠を登る人間にとっては、地上と峠の上の温度が違う。
そして標高の高いところは、風が吹くと気温が想定よりもさらに下がる。
下り道は自転車を漕がず、風に吹きさらされる状態が何十分も続くので、体が冷え切ってしまう。
ロードバイクのウエアは15度用、10度用、5度用とバリエーション豊かなのだが、結局どれも必要になってくる。

なるしまフレンドでは、普通の大手ショップでは売っていない冬用のジャージと手袋等備品を買った。

こういう面白い服が一着あってもよい。自分は安全を重視するので、ウエアは色がはっきりしているものを揃えている。

次に新宿まで走り、サイクリングショップの大手、Y’s Road 新宿店に行って、残りの服を全て買った。
大散財だが、これで明日からのサイクリングは走ることに集中できる。

カフェで一休みしてから、駐車場に戻った。
青山通りから代官山を抜けて駒沢通りに出ると辺りはすぐに暗くなった。


明日は再びヤビツ峠に上る予定だ。
今日買ったウエアがどれぐらい寒さから守ってくれるか?試してみよう。


(終) 2020年10月31日

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