昭和の喫茶店・「昭和堂」

のんびり街を行く

横浜市に移り住んで早や25年が経つ。
しかし知らない街やお店、遊び場所はまだたくさんある。
最近ネットで調べていたら、なんと家から自転車で行ける範囲で本格的な昭和レトロな喫茶店を発見した。
早速、行ってみた。
お店の佇まいはHPで見た通り、昭和のオーラを放っていた。
中に入った。



店内は昭和時代のおもちゃや貴重なポスター等で壁は埋め尽くされていた。
こういうお店にありがちな汚さは全くなく、古風ながらもとても綺麗な店内、という印象だ。
マスターご夫婦がいらっしゃった。

せっかくなので平凡なブレンドを頼んではつまらないと思い、スペシャル珈琲と、メニューにあった「アンチートー スト」というあんことチーズのハーモニーというこのお店独自のトーストを注文した。
他にお客さんがいなかったので、マスターに話しかけた。


強面に見えるがとても優しいマスターで、いろいろ教えてくれた。
私より上の世代だが、漫画の話や青春ドラマの話等、時代感覚はそれほどずれておらず
手塚治虫氏や最近亡くなられたジョージ秋山氏の話で盛り上がった。
私は東京都練馬区生まれで、実家から徒歩3分の所にちばてつやの家があり、徒歩7分ぐらい離れたところに手塚治虫氏の虫プロダクション寮があり、そこに住み込みの寮を世話をしていた(と記憶)家族の息子は小学生の一番仲の良い同級生でよく寮に遊びに行っていたので、昭和の漫画はいろいろ懐かしい思い出がある。
ジョージ秋山の後年の大作「浮浪雲」も好きで25巻ぐらいまでそろえていたが、小学生の時に読んだ「アシュラ」や「銭ゲバ」が忘れられずKindleで電子書籍でも持っている。
マスターは「デロリンマン」が好きだ、と言っていた。

‘70年代フォーク、岡林信康、井上陽水、吉田拓郎といった大御所から三上寛、なぎら健壱といった名前がつらつら出てくる。
TVドラマは「俺たちの旅」「俺たちの勲章」「傷だらけの天使」等。
話しをしているとすっかり小中学生時代の昭和40~50年代にタイム・トリップしたようだ。
マスターは日本物一色かと思ったら全然違った。
ボブ・ディランも好きだと言われて嬉しくなった。私も大好きだからである。
「コーヒーもう一杯」が好きというとそこでまた話が盛り上がる。
モータウンやアトランティックのR&Bも造詣が深く、ここも私と完全に趣向が同じだ。
Jazzもお好きとのことでここでも一通り有名なアーティスト名が出てくるがヘレン・メリルの名前が出てきた。ヘレン・メリルと言えば「Black Coffee」。
こういう喫茶店で名前が出るに相応しい。
マスターとの話を楽しみながら、スペシャル珈琲の味を噛みしめる。

話しは尽きない。
結局、ディランではないが“コーヒーもう一杯”を頼み、スペシャル珈琲2杯とおいしいトーストをご馳走になった。
こういうお店をやる方は表面的なものだけでなくカルチャーの真髄に惚れている人ばかりだ。
「喫茶 昭和堂」のマスターももちろん例外でない。

久しぶりに“喫茶店文化”を堪能できるお店に出会った。
個性的なお店の雰囲気。
魅力的なマスター。

そこでお客さんは物思いにふけたり、店に置いてある漫画等を読んで”自分探し“や”自分リセット“をする。

かつてそういう時間を過ごしていた昔の自分を思い出した。

この素敵な昭和レトロ喫茶店・「昭和堂」、ぜひ一度お試しあれ。
住所:神奈川県横浜市旭区万騎が原34-1


(終) 2020年6月28日

コメント