森の景色に染み入るJazz

サイクリング


7月4日未明より熊本と鹿児島を襲った大雨が台風並みの被害をもたらしている。
こういう災害が起こるたびに自然の力を思い知らされる。
今週末は関東も雨。
昨年の7月はずっと雨ばかりだった。
今年の7月も同じようになるのか?そんなことを思いながら日曜日は何を過ごそうか?と前日、ぼんやりと考えていたが、特に何も計画はしていなかった。
今朝起きると、雨は降っていなかった。
天気予報を見ると午前中は天気は持ちそうだ。
急遽、湘南国際村に行こうと思い立った。
この間と同じコースをロードバイクで走って、その後、この間通り過ぎて気になっていたカフェでランチを取ろう。

急いで身支度をして朝はコンビニで朝食を買って食べ、一目散に出発した。
ただこういう行き当たりばったりな行動だとやはり無理がある。
いかんせん朝起きた時間が少し遅かった。
逗葉新道を降りた時点で10時過ぎ。丁度、料金を払ったところで雨が降ってきた。
スッカリ気持ちが萎えてしまった。

がっかりして車で今日走る予定の道を通る。
ロードバイクで走っている人達が見える。
羨ましい。
途中まで走ると雨は上がった。
引き返して駐車場に向かう。
しかしトンネル近くでまたもや雨は降り始めた。しかも粒が大きい。
ここで断念。
一息ついて、再びUターンをしてカフェに行くことにした。
まだ10:30前だ。既に空いているか?自信がなかったが、他に行くところがない。
とりあえず行ってみることにした。
再度、湘南国際村方面へ向かう。
コンビニのある交差点につく。そのまままっすぐ行けば目的のカフェに行くのだが、左折をして本日の目的だった地点まで車を走らせた。
行く途中も何人ものロードバイクを乗る人たちを追い越したり、すれ違った。
まだ小雨の部類なので、あまり気にしていない様子だ。
むしろ皆、満足げに走っている。
今日は乗る機会を逸したが、次回の楽しみにすることにしよう。

そしてカフェに向かった。
店の名は「Breeze Terrace Shonan」。
お店は幸いにも開いていた。
店の扉を開けると、期待以上のエントランスが待ち受けていた。



「Jazzワールドへようこそ」
そう語りかけるかのような雰囲気満点のエントランスを抜けると、悠然とした空間が広がっていた。


店にはピアノ演奏のJazzがかかっている。
時間が早かったので、店内に他にお客さんはいなかった。
屋外にも席があり、そこは1組のグループのお客さんがいた。
天井が高いのでとても広く感じられる。
窓際に座り、窓の外を眺めると、一面緑の森が視界を覆う。



ゆったりとした上質の空間に包まれる。
マスターに断り、素敵な店内を撮らせてもらう。
そしてピアノとスピーカーが置いていある奥の部屋に入らせてもらう。



自動ピアノによる演奏だ。
大型スピーカーから温かい音が流れている。
数歩下がり、音を聞き入る。
久しくこういう豊かな音は聴いた記憶がない。
これを贅沢と言わないで何と表現しよう。
都心だと、空間のゆとりのあるお店などそうそうない。
じっくりと静かな空間で上質な音楽が聴けるありがたみを噛みしめる。



カレーのセットを頼んだ。味はもちろん秀逸で、珈琲の味も上質だ。
食事を終えると再び窓の外を見る。
ロケーションが絶妙で、山側にウッドデッキが広く作られ、そこにもテーブル席が幾つか置かれているのだが、そのデッキからは向かいの山から遥か下まで続く森まで見下ろせる。



今日はあいにくの雨模様で雨雲が山の上を覆っているが、これがかなり人里離れた山奥まで来ているような気にさせられて、なかなか良い。
店内はJazzの音楽に包まれ、外は向かいの森が至極の景色を見せてくれる。
いつまでもここにとどまっていたい気分だ。
マスターに、“外の眺めがいいですね”、と声をかけると、マスターもウッドデッキを作るまでこの景観の良さに気づかなかったそうだ。
最高の場所にお店を建てたものである。
しかしこの店内の雰囲気は偶然できたものではない。
マスターのこだわりに満ちている。
こんなお店はそうそうない。

コーヒーを飲み終えると、後ろ髪をひかれる思いで、お店を出る。
外はすっかり大雨だ。
今日はサイクリングには縁がなかったが、素敵なお店で時間を過ごせたのは幸いだ。
湘南国際村にはこれからも定期的にサイクリングに来るつもりでいるので、このお店にもまた近々来るだろう。

珈琲の香りとピアノの音色を忘れる前に。

 



(終) 2020年7月5日

コメント

  1. ☆の より:

     いつも、タカミザワでお世話になってます

     サイクリングの行動範囲が広がってますねぇ。写真を観ると思い当たる所がたくさんあるから、刺激になります(笑)